II

保有しているとき(不動産所得等)の税金

1.不動産所得に対する税金

不動産所得の申告

所得税

不動産を賃貸したことにより不動産所得が発生する場合には、その所得は所得税の対象となります。その年の所得税額は、不動産所得と他の所得(給与所得等)を合算して確定申告により算出します。
例えばサラリーマンなどの給与所得者は、会社が年末調整を行うことにより納税額が確定するので、自分自身で確定申告する必要がありません。しかし、不動産所得分については会社で年末調整をしてくれませんので、ご自身で所得金額・納税額を計算し、申告と納税をしなければなりません。

〈確定申告の手続〉

確定申告期間 その年の翌年2/16~3/15までの間
所得税の納期限(注) 3/15まで
確定申告書の提出先 住所地を管轄している税務署

(注)3/15までに一定の書類とともに確定申告書を提出した場合には、指定の金融機関からの口座振替により納税することもできます。
この場合における納税は4月中旬の指定日(毎年異なります)に口座から引き落とされることにより納税が完了します。

◆税額計算

所得税額=課税所得金額 (注1)×税率-控除額 (注2)

(注1)課税所得金額=所得金額-所得控除額

  • 所得金額のうち、給与所得は、「給与所得の源泉徴収票」での「給与所得控除後の金額」を指します。
  • 所得控除とは、納税義務者に控除対象配偶者や扶養親族がいるかどうかなどの個人的な事情を税負担のうえで考慮するため、所得金額から控除するものです(例:配偶者控除、扶養控除等)。所得税額の計算上の所得控除額は、「給与所得の源泉徴収票」での「所得控除の額の合計額」を指します。

(注2)税率は→こちらをご参照ください

<所得税額の計算例>

[所得金額]

 給与所得

800万円

+不動産所得

400万円

 所得金額

 1,200万円

[課税所得金額](所得控除額100万円の場合)

 所得金額

1,200万円

-所得控除額

100万円

 課税所得金額

 1,100万円

課税所得金額

税率

控除額

所得税額

1,100万円 ×

33% -

153.6万円 =

209.4万円

住民税

住民税は所得税額計算上の所得をもとに算出します。所得税の確定申告書を税務署に提出すれば、その所得金額の情報が税務署から住所地の市区町村に伝わり、市区町村で税額を計算します。そのため、自分で住民税の申告をする必要はありません。
住民税の納税は特別徴収(給料から源泉徴収される方法)と普通徴収(納付書に基づき納付する方法)の2つの方法があります。普通徴収の場合は一括で納税することも可能ですが、年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて納税することも可能です。また、特別徴収を届出ている方でも、給与所得以外の所得に対する住民税については、普通徴収により納付することも選択できます。

Q&A4
電子申告・納税

個人事業税

不動産の貸付けを事業的規模で行っている場合は、個人事業税の課税対象となります。所得税の確定申告書を提出していれば個人事業税の確定申告書を提出する必要はありません。税額は都道府県税事務所が計算し納付書を送ってきます。その納付書に基づき、年2回の納期(8月、11月)に納税します。

◆税額計算式

個人事業税額={所得金額(注1)-事業主控除額(年間290万円)}×税率(5%)(注2)

(注1)青色申告特別控除前の金額

(注2)税率は→こちらをご参照ください

◆課税対象

個人事業税における不動産貸付業とは、次の基準を満たす不動産の貸付けを行っている場合に該当となります。

貸付不動産の種類

基 準
家 屋 土 地
一 戸 建 一戸建以外
住宅又は住宅用土地 10棟以上 10室以上 貸付契約件数が10件以上又は貸付総面積が2,000㎡以上
非住宅又は非住宅用土地 5棟以上 10室以上 貸付契約件数が10 件以上
住宅、非住宅、土地等種類の異なる貸付けを併せて行っている場合 家屋の室数、棟数又は土地の貸付契約件数の合計が10件以上
(10件未満であっても上記のいずれかの区分による基準を満たす場合は当該区分による。)
競技場、遊技場、集会場等 野球場、卓球場、舞踏場、映画館等で競技、遊技、集会等の施設を施した場所を貸付けている場合

上記の基準を満たさない場合でも、貸付建物の総床面積が600㎡以上でかつ貸付建物に係る賃貸料収入が年間1,000万円以上の場合(東京都の場合)は、課税の対象となります。

※詳細の内容については各自治体により相違しますので、不動産所在の各都道府県税事務所にご確認ください。

Q&A5
非居住者の不動産収入の源泉徴収