2.遊休地に賃貸マンションを建設すると相続税評価額が減少する
(「相続税の仕組みと計算」もあわせてご参照ください。)
(3)賃貸マンションを建てた場合
■乙土地・丙土地に賃貸用のマンションを建設
①乙土地に20,000万円でマンション建設
自己資金 5,000万円
借入金 15,000万円
②丙土地に40,000万円でマンション建設
借入金 40,000万円
■マンション建設後の相続税評価額
①土地
利用状況 | 面積 | 1㎡当たりの評価額 | 評価額 | |||||
甲土地 | 居住用 | 400㎡ | 100,000円 | 10万円×400㎡=4,000万円 | ||||
乙土地 | マンションの敷地 | 400㎡ | 400,000円 |
(ア)40万円×400㎡=16,000万円 (イ)貸家建付地の評価 (ウ)小規模宅地の特例
(エ)(イ)-(ウ)=9,840万円 |
||||
丙土地 | マンションの敷地 | 1,000㎡ | 240,000円 |
(オ) 24万円×1,000㎡=24,000万円 (カ) 貸家建付地の評価 |
||||
合 計 | 33,520万円 |
(注1)借地権割合60%、借家権割合30%とする。
(注2)甲土地に対する小規模宅地の特例より減額が大きいため乙土地に適用。
(注3)相続開始前3年以内に新たに貸付を開始した貸付事業用の土地には一定の制限があります。(→こちらをご参照ください)
②建物
乙建物 | 建築価格 | 20,000万円 | ||
固定資産税評価額 | 12,000万円 | (仮定) | ||
貸家の評価減後 | 12,000万円 | ×(1-0.3)= | 8,400万円 |
|
丙建物 | 建築価格 | 40,000万円 | ||
固定資産税評価額 | 24,000万円 | (仮定) | ||
貸家の評価減後 | 24,000万円 | ×(1-0.3)= | 16,800万円 |
|
③現金預金 (マンション建設の自己資金に5,000万円を出資) |
2,000万円 |
|||
④有価証券 |
8,440万円 |
|||
⑤借入金 |
▲55,000万円 |
1.概算による財産合計
14,160万円
2.相続税の基礎控除
3,000万円 + 600万円 × 3人 =
4,800万円
3.課税遺産総額
14.160万円 - 4,800万円 =
9,360万円
4.相続税の総額
〈課税遺産総額を法定相続分で按分する〉
課税遺産総額 |
割合 |
課税遺産額 |
|||||
妻B分 |
9,360万円 | × | 1/2 | = | 4,680万円 |
||
長男C分 |
9,360万円 | × | 1/4 | = | 2,340万円 |
||
次男D分 |
9,360万円 | × | 1/4 | = | 2,340万円 |
〈法定相続人ごとに算出した相続税を合計し総額を求める〉
課税遺産総額 |
税率 |
控除額 |
相続税 |
||||
妻B分 |
4,680万円 | × | 20% | - | 200万円 |
= | 736万円 |
長男C分 |
2,340万円 | × | 15% | - | 50万円 |
= | 301万円 |
次男D分 |
2,340万円 | × | 15% | - | 50万円 |
= | 301万円 |
合 計 | 1,338万円 |
5.配偶者の税額軽減 妻の相続分を1/2と想定 |
||
軽減額 |
1,338万円 × 1/2 = |
669万円 |
6.納付予定税額 |
|
1,338万円 - 669万円 = |
669万円 |
(注)この事例計算は、遊休地にマンションを建築すると相続税評価額が低減することの概算の例示です。
相続税を納税するための実際の計算は実測図その他の資料を基にした詳細な計算が必要となります。
解 説
賃貸マンション建築前のA氏の相続税評価額は5億6,800万円で、相続が発生したと仮定した相続税は8,000万円と想定されました。しかし、有効活用されていなかった更地に借入金で賃貸マンションを建築することにより、相続税評価額は1億4,160万円に減少し、相続税額も669万円に減少されると予想されます。また賃貸マンションの賃料が入ることにより、本人の生活費や相続税の支払財源を作ることもできるため有効活用としては最適なプランとなりました。
ただし、キャッシュフローや賃貸市場調査等、賃貸経営のための研究を十分にしてからの実行が必要です。