令和7年度版 税金の手引き 事業用
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─()36※ 相続税算出時は、生前贈与額4,000万円を課税価格に入れて計算します。※ 相続税の基礎控除額3,600万円=3,000万円+600万円×法定相続人の数(子Bのみ)親Aから子Bへ4年間で総額4,440万円贈与があり、相続時精算課税制度を選択した場合①贈与額②基礎控除額③贈与累積対象額(①-②)④特別控除額⑤贈与税率贈与税{(③-④)×⑤}さらに2028年(令和10年)に親Aから子B(相続人がBだけである)へ、遺産総額5,000万円の相続が発生した場合の相続税相続時遺産額 生前贈与された資産金額※ 課税価格 親から子へアパートの建物の贈与が行われた場合には、賃貸収入が子に帰属することになるので、親の相続財産の増加を防ぎ相続税対策になると同時に、親に集中している収入が分散されることから所得税の節税効果もあります。また子がその収入を貯めることで相続税の納税資金対策になります。建物のみの贈与としているのは、「建物の相続税評価額=建物の固定資産税評価額×(1-0.3)」であり、贈与税額を考慮に入れると土地がない方が容易に収益物件の贈与が可能になるからです。相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産は、相続税を計算するとき贈与時の時価で計算されます。従って、贈与時点よりも将来値上がりが見込まれる不動産の贈与は相続税の節税に繋がります。アパートの建物を相続時精算課税制度を利用して贈与する場合の注意です。アパートの敷金を預かっている状態で、その敷金の返還義務を継承してアパートの建物の贈与を受けると、敷金の返還義務という債務負担付での贈与となります。この場合、贈与の額は時価とされると共に贈与者にも譲渡所得税の課税問題が生じることもあります。敷金は現金で贈与しておく必要があります。相続時精算課税制度を利用して、アパートの建物とその敷地を贈与する場合、敷地については小規模宅地の特例は適用できません。但し、貸家建付地の評価減は適用することができます。相続時精算課税制度を利用して不動産を贈与し、その後贈与者に相続が生じた場合、その不動産は物納財産とすることはできません。相続時精算課税制度の活用例注意点合計4,440万円440万円4,000万円2,500万円300万円2025年(令和7年)1,110万円110万円1,000万円1,000万円20%0円課税価格5,000万円4,000万円9,000万円2026年(令和8年)1,110万円1,110万円110万円1,000万円1,000万円1,000万円20%0円贈与税額累計300万円税 額 (9,000万円-3,600万円※)×30%-700万円=相続税920万円但し、相続税額から既に支払った贈与税額を差し引くことができるので、納付する相続税は次のとおりとなります。920万円-300万円=620万円2027年(令和9年)2028年(令和10年)1,110万円110万円110万円1,000万円─500万円20%20%100万円200万円■アパートの建物のみの贈与■値上がりしそうな不動産の贈与■負担付贈与に注意■小規模宅地の特例は適用できない■物納財産とすることはできない税金の手引き 事業用相続税計算の詳細は31ページ「相続税の計算の流れ」をご参照ください。< 計 算 例 >Ⅴ. 相続税・贈与税について(事業用不動産の相続税・贈与税)

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