VII

ケーススタディ

10.定期借地権(保証金方式・権利金方式・前払賃料方式)の課税関係

(3)前払賃料方式

■前払賃料

返還を要しない金銭。だたし、定期借地契約が解約になった場合には、未経過分は返還が必要となります。

■貸主の処理

受け取った一時金を「前受収益(負債)」として計上し、設定した期間に応じ各年分の収入金額に算入します。

■借主の処理

支払った一時金を「前払費用(資産)」として計上し、設定した期間に応じ各年分の必要経費に算入します。

解 説

前払賃料方式により処理する場合には次の要件を満たしている必要があります。

  1. 一時金が前払賃料であり、それが契約期間にわたって又は契約期間のうち最初の一定期間について、賃料の一部又は全部に、均等に充当されていることを定めた定期借地権設定契約書(国税庁の書式に準拠したもの)により契約したものであること
  2. a の契約書を契約期間にわたって保管していること
  3. 取引の実態がその契約に沿うものであること

なお、前払賃料は、消費税法上非課税となる土地の貸付けの対価の前受金に該当するため、貸主である消費税の課税事業者は、仕入控除税額の計算に当たり、その年分の賃料に相当する金額を課税期間の「資産の譲渡等の対価の額」に算入し、課税売上割合を計算する必要があります。 また、借地権者においては、仕入税額控除の対象とはなりません。