2020年(令和2年)度税制改正の内容

2020年(令和2年)度税制改正大綱が2019年(令和元年)12月12日に発表されました。
不動産・相続・贈与に関連する主要な改正項目は以下のとおりです。

所得税

増税「住宅ローン控除」の縮小

現行制度

「住宅ローン控除」を適用開始した年から3年目に旧住宅を売却した場合には「居住用財産の3000万円特別控除」「10年超所有軽減税率の特例」や「特定居住用財産の買換え特例」との重複適用ができる。

※「住宅ローン控除」のすべての要件を満たしていることが前提

2020年(令和2年)4月1日以後の譲渡

重複適用不可

見直し国外財産調書制度の見直し

現行制度

海外にある預金、不動産、証券の保有状況のみを年1回報告することを義務付けている。
  • 提出期限内に提出した場合には、国外調書に記載のある国外財産に関して所得税(又は相続税)の申告漏れがあっても、その国外財産に係る過少申告加算税等が5%軽減される。
  • 提出期限内に提出がない場合、又は提出期限内に提出された国外財産調書に記載すべき国外財産の記載がない場合に、その国外財産に関して所得税の申告漏れが生じたときは、その国外財産に係る過少申告加算税等が5%加重される。

2020年(令和2年)以後の所得税
(又は2020年[令和2年]4月1日以後の相続等に係る相続税)

現行の報告義務に加えて、海外にある預金の入出金、不動産の購入売却、賃貸借などの取引実態のわかる情報の保管。保管は義務ではないが、提出を求められた時に、提示できなければ厳しい調査をうけ税負担が重くなる。
  • その国外財産に係る過少申告加算税等の軽減措置は適用しない
  • その国外財産に係る過少申告加算税等が従来の5%から10%に割増加重される

延長特定の居住用財産の買換え特例

現行制度

一定のマイホームを売却し、売却代金以上のマイホームに買換えをした場合には課税されず、売却代金以下の買換えをした場合、その差額にだけ課税するという特例。マイホームの買換えに充てた金額まで課税が繰り延べられる制度。

2020年(令和2年)1月1日から2021年(令和3年)12月31日

現行のまま2年間延長

延長特定居住用財産の譲渡損失の損益通算と繰越控除

現行制度

5年超所有するマイホームを売却して譲渡損が出た場合、「居住用財産の買換等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」または「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の要件を満たすと、譲渡損失を給与等その他の所得と通算し、損失に余りがあるときには、翌年以降3年間繰越控除できるという特例。

2020年(令和2年)1月1日から2021年(令和3年)12月31日

現行のまま2年間延長

延長特定事業用資産の買換え特例

現行制度

長期所有の土地・建物等から国内にある土地・建物の買換

2020年(令和2年)4月1日から2023年(令和5年)3月31日

一部見直し後適用期限を3年延長

新設低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除

所有期間が5年を超える都市計画区域内にある低未利用土地等を500万円以下で譲渡した場合、その年中の低未利用土地等の譲渡に係る長期譲渡所得の金額から100万円(当該長期譲渡所得の金額が100万円に満たない場合には、当該譲渡所得金額)を控除することができる。

  • 土地基本法等の一部を改正する法律(仮称)の施行の日又は2020年(令和2年)7月1日のいずれか遅い日から2022年(令和4年)12月31日までの間に譲渡した場合について適用する。

新設国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例(2021年[令和3年]以後の各年から適用)

(1) 国外中古建物の不動産所得の金額の計算上 国外不動産所得の損失の額がある時は、その国外不動産所得の損失の金額のうち、次の①②の方法(いわゆる「簡便法」)により算定した減価償却費に相当する金額は、所得税に関する法令の規定の適用については、生じなかったものとみなす。国外不動産所得が損失になった場合(マイナスの時)減価償却費に相当する金額は、なかったものとする。
①法定耐用年数の20% ②法定耐用年数-経過年数+経過年数の20%

(2) (1)の適用を受けた国外中古建物を譲渡した場合における譲渡所得の計算上、その取得費から控除する償却費の累計額から(1)によりなかったものとされた金額を除くこととする、その他の所要の措置を講ずる。

消費税

見直し居住用賃貸建物の所得等に係る消費税の仕入れ税額控除

「居住用賃貸建物」の課税仕入れについては、仕入税額控除の適用を認めないこととする。
ただし、居住用賃貸建物のうち、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分については引き続き仕入税額控除制度の対象とする。

  • 2020年(令和2年)10月1日以後に居住用賃貸建物の仕入れを行った場合について適用する。

その他

延長固定資産税の軽減措置

現行制度

①新築住宅の税額が2分の1となる軽減。
②新築認定長期優良住宅の税額が2分の1となる軽減
③耐震改修を行った住宅の軽減
④バリアフリー、省エネ改修を行った住宅の軽減

2020年(令和2年)4月1日から2022年(令和4年)3月31日

現行のまま2年間延長

延長不動産取得税の軽減措置

現行制度

①住宅用土地取得後、住宅新築までの経過年数要件を「2年以内」に代えて「3年以内」とする特例
②新築認定長期優良住宅の控除額を1200万に代えて1300万とする特例

2020年(令和2年)4月1日から2022年(令和4年)3月31日

現行のまま2年間延長

延長登録免許税の軽減措置

現行制度

①住宅用建物の所有権保存登記等、抵当権等の設定登記の軽減
②特定認定長期優良住宅の所有権保存登記等の軽減
③認定低炭素住宅の所有権保存登記等の軽減

2020年(令和2年)4月1日から2022年(令和4年)3月31日

現行のまま2年間延長

延長印紙税の軽減措置

現行制度

不動産譲渡の契約書に係る印紙税の軽減

2020年(令和2年)4月1日から2022年(令和4年)3月31日

現行のまま2年間延長