5.同族会社の株価評価
特例的評価方法(配当還元方式)
同族株主以外の株主が取得した取引相場のない株式は、配当還元価額(特例的評価方法)により評価します。
配当還元価額= | その株式に係る年配当金額 | × | その株式の1株あたりの資本金等の金額 |
10% | 50円 |
その株式に係る年配当金額は、1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の金額であり、課税時期直前以前2年の平均を採用します。平均額が2円50銭未満のときは2円50銭となります。
非上場株式等にかかる贈与税・相続税の納税猶予制度
評価額の高い同族会社の株式を先代経営者から後継者へ贈与・相続させると、多額の贈与税・相続税がかかり経営権の円滑な承継が阻害されます。そこで、2009年(平成21年)度税制改正において事業承継税制が創設され、要件を満たす株式の贈与・相続に係る贈与税·相続税が猶予されるようになりました。その後何度かの改正を経て2018年(平成30年)に「非上場株式等についての贈与税(相続税)の納税猶予及び免除の特例」が創設されました。
(1)贈与税の納税猶予制度の概要
主な適用要件 |
①納税猶予の対象となる株式は発行済議決権付株式総数のすべて ②経営者であった贈与者及び同族関係者が発行済議決権付株式総数の50%超の株式を保有し、かつ、事業後継者以外の同族関係者の中で筆頭株主であったこと ③事業後継者及び同族関係者が発行済議決権付株式総数の50%超の株式を保有し、かつ、その同族関係者の中で筆頭株主であること ④2018年(平成30年)4月1日から2024年(令和6年)3月31日までの間に特例承継計画を都道府県に提出すること |
納税猶予額 |
対象となる株式等の贈与により納付することとなる贈与税の全額 |
納税猶予税額を納付 しなければならない場合 |
事業後継者が、その会社の代表者でなくなる等、事業を継続していないと認められる場合。 |
納税猶予税額が免除される場合 | 贈与者が死亡した場合には、事業後継者が相続により取得したものとみなして相続税として課税される。この時に、一定の要件を満たせば相続税の納税猶予制度の適用を受けることができる。 |
(2)相続税の納税猶予制度の概要
主な適用要件 |
①納税猶予の対象となる株式は発行済議決権付株式総数のすべて ②経営者であった被相続人及び同族関係者が発行済議決権付株式総数の50%超の株式を保有し、かつ、事業承継相続人以外の同族関係者の中で筆頭株主であったこと ③事業を承継する相続人及び同族関係者が発行済議決権付株式総数の50%超の株式を保有し、かつ、その同族関係者の中で筆頭株主であること ④事業承継相続人がその会社の役員であること(被相続人が70歳未満で死亡した場合等を除く) ⑤相続開始日翌日から5ヶ月を経過する日において事業承継相続人がその会社の代表権を有していること ⑥2018年(平成30年)4月1日から2024年(令和6年)3月31日までの間に特例承継計画を都道府県に提出すること |
納税猶予額 |
相続により取得した株式の課税価格の全額に対応する相続税額 |
納税猶予税額を納付 しなければならない場合 |
事業承継相続人が、相続税の法定申告期限から5年の間に代表者でなくなる等、事業を継続していないと認められる場合 (5年経過後に株式を譲渡した場合には、譲渡等された株式等に対応する納税猶予税額を納付する) |
納税猶予税額が免除される場合 | 事業承継相続人が納税猶予の対象となった株式等を死亡の時まで保有し続けた場合など一定の場合 |
※不動産保有会社、不動産管理会社の株式は原則、本制度の対象にはなりません。
※2018年(平成30年)1月1日から2027年(令和9年)12月31日までの株式の贈与・相続が対象になります。