不動産売却時の税金

譲渡所得の計算方法(3,000万円特別控除の利用例)

Q33居住用財産を弟へ売却しました。弟はその家に住み、私は別の場所にマイホームを新築しました。親族への売却ですが、居住用の特例は適用できるでしょうか?

A

マイホームを特殊関係者に対して譲渡した場合、その譲渡所得について3,000万円特別控除の特例等の適用はありません。

特殊関係者の範囲は次のとおりです。

  1. ①その個人の配偶者及び直系血族

  2. ②その個人の親族(①の者を除く。以下同じ)でその個人と生計を一にしているもの及びその個人の親族でその譲渡にかかる家屋の譲渡がされた後その個人とその家屋に居住するもの

  3. ③その個人とまだ婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者及びその者の親族でその者と生計を一にするもの

  4. ④ ①から③に掲げる者及びその個人の使用人以外の者でその個人から受ける金銭などにより生計を維持しているもの及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの

  5. ⑤その個人、その個人の①及び②に掲げる親族、その個人の使用人もしくはその使用人の親族でその使用人と生計を一にしているもの又はその個人に係る③及び④に掲げる者がその発行済株式等の50%超を有する同族会社その他これに準ずる関係のあることとなる会社その他会社以外の法人

なお、特殊関係者等に該当するかどうかの判定は、②を除き、居住用財産を譲渡した時点で判定することになります。
質問の「弟」は、②の親族ではありますが、「その個人と生計を一にしている」ことも「譲渡がされた後その個人とその家屋に居住する」こともありません。
したがって、売却先が弟でも居住用の特例は受けられます。

Q34転勤により、大学に通う子供だけを残して引越し、生活の拠点を移した。このような親族のみが居住する物件を売却した場合でも、3,000万円特別控除の特例は受けられる?

A

所有者が居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する年の年末までに売却した場合は3,000万円特別控除の適用を受けられますが、それを超えて売却した場合は以下の要件をすべて満たした場合に特例をうけることができます。

  1. ①従来その家屋の所有者として居住していたこと。

  2. ②所有者が居住の用に供さなくなった日以後引き続き生計を一にする親族の居住の用に供している家屋であること。

  3. ③生計を一にする親族の居住の用に供さなくなった日から1年以内に譲渡すること。

  4. ④その家屋を居住の用に供さなくなった日以後において、他の居住用財産の譲渡所得について「3,000万円特別控除」「10年超所有軽減税率の特例」「特定居住用財産の買換え特例」の適用をうけていないこと。

  5. ⑤現在生活の拠点として利用している家屋が自己の所有する家屋でないこと。

(注)確定申告の際に譲渡者の戸籍の附票の写し、譲渡物件に居住していた生計を一にする親族の住民票、譲渡した家屋と現在生活の拠点として居住している家屋の全部事項証明書(登記簿謄本)の提出が必要となります。

Q353,000万円特別控除を適用すると配偶者控除及び配偶者特別控除や基礎控除が使えなくなる場合がある?

A

所得控除のうち配偶者控除(配偶者の所得・年齢に応じ最高48万円の控除)及び配偶者特別控除(配偶者の所得に応じ最高38万円の控除)は、その人の合計所得が1,000万円以下であることが条件です。また基礎控除は合計所得が2,400万円以下の場合は一律48万円ですが、2,400万円を超えると控除額は段階的に引き下げられ、2,500万円超の場合は0円となります。この合計所得は、3,000万円特別控除前の譲渡所得と他の所得の合計額で判定します。従って、仮に居住用の3,000万円特別控除で譲渡所得がなくても、合計所得金額により、これらの所得控除が受けられなくなる場合があります。

監修

東京シティ税理士事務所