譲渡所得の計算方法
売買契約締結後、引渡前に相続が発生した場合
不動産売買契約締結後、引渡し前に相続が発生した場合には譲渡税と相続税はどうなるのですか?売買価額は5,000万円で、買主は契約時に手付金500万円を支払い、引渡時に4,500万円を支払う予定となっております。手付金500万円は被相続人の通帳のなかにあり、路線価などで計算した相続税評価額は4,000万円となっております。
売主の譲渡税の取扱い
譲渡所得を計算する上で譲渡した日は契約した日又は引渡しした日を選択することができます。どちらを選択するのかで課税関係が変わります。
①引渡日を譲渡日として申告する場合(原則的な考え方)
引渡した日を譲渡した日と考えた場合、相続人が譲渡したと考え相続人が確定申告することとなります。この場合相続後でも相続人のマイホームであれば、居住用財産の3,000万円特別控除を適用することができます。また、この場合には相続税額の取得費加算の規定も適用することが可能です。
②契約日を譲渡日として申告する場合(特例)
契約した日を譲渡した日と考えた場合、被相続人が譲渡したと考え被相続人の準確定申告で譲渡所得を計算することとなります。この場合、被相続人のマイホームであれば、居住用財産の3,000万円特別控除を適用することができます。また、相続税の計算上譲渡税が債務控除の対象となります。また、被相続人は譲渡の翌年1月1日に存在してないため住民税はかからないこととなります。なお、準確定申告の際に譲渡所得の申告がなかった場合には契約日を譲渡日として申告することができません。
| 引渡日を 譲渡日とする場合 |
契約日を 譲渡日とする場合 |
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| 申告者 | 相続人 | 被相続人 |
| 課税される 税目 |
所得税、住民税 | 所得税 |
| 居住用の特例 について |
相続人が 要件を満たせば適用可 |
被相続人が 要件を満たせば適用可 |
| 相続税の 債務控除 |
譲渡税部分は 対象とならない |
譲渡税部分は 対象となる |
| 相続税額の取得費加算 | 適用可 | 適用不可 |
相続税の取扱い
①売主が亡くなった場合
土地としての評価ではなく譲渡代金の残代金請求権として評価します。今回のケースは4,500万円の未収入金が相続財産となります。
②買主が亡くなった場合
(イ)原則:相続財産として土地の引渡請求権と、債務として残代金支払債務として評価します。
今回のケースは5,000万円の債権と、4,500万円の債務となります。
(ロ)特例:相続財産について土地として相続税の申告があった場合には相続税評価額で計算されることとなります。
| 売主が亡くなった 場合 |
買主が亡くなった 場合 |
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| 相続により 取得した財産 |
預金:500万円 残代金請求権:4,500万円 |
土地引渡請求権:5,000万円 又は土地:4,000万円 |
| 相続により 継承した債務 |
なし | 残代金支払債務:4,500万円 |