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リハウス
ストーリー
Vol.2

Rehouse Story(リハウスストーリー) Vol.2Rehouse Story(リハウスストーリー) Vol.2

Rehouse Story Vol.2

私は物件を買おうとしているお客様へ、必ずお伝えすることがあります。「不安なことはないですか?どんなに些細(ささい)なことでも、なにかあれば私へぶつけてください。一緒に残さず不安を解消してから買いましょう!」。その一言に安心されるのか、お客様は遠慮なく質問してくださいます。その声掛けを徹底するようになったのは、数年前。ある一軒家の売買を巡る出来事がきっかけでした。

ある日、50代のご夫婦が来店されました。

マンションへ引っ越すことになって他社でご自宅を売りに出されていたのですが、半年以上経ってもなかなか決まらないので、当社で売却できないかというご相談でした。私はお話をするうちにすっかり打ち解け、ご夫婦の一軒家を売るお手伝いをさせていただくことになりました。
一方、その家を気に入られたのは、ある40代のご夫婦。物件をとても細かな部分まで確認される方々で、自分たちの新しい住まいを長い間探していましたが、なかなか納得いく物件には出会えなかったそうです。それがある日、当社のホームページに掲載された一軒家が目に留まりました。見学をすると「10年以上経っているとは思えないほど綺麗ですね!」とますます気に入られた様子。そして、ホームページ掲載から約一カ月で めでたく契約することに。私には、全ての事がスムーズに運んでいるように見えました
ところが、双方が初めて対面し、契約を交わす日に事件は起こりました。もう契約をしようという場で、買主様が売主様へ「本当に綺麗に使っていたのか」と疑っているかのような、少々ぶしつけな質問をしたのです。私が「えっ?」と慌てたのもつかの間、売主様の顔色はみるみる変わっていきました。そしてスッと席を立たれ「そのように不安でしたら、買わなければよろしいでしょう」と、お引きとめする間もなくそのまま帰られてしまったのです。

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まだご購入を悩まれていたのですか?

そのように尋ねると買主様はいいえ、と首をふりました。そうです。買主様はもともと、細かな部分まで妥協をせずに物件を探されていた方。それゆえに、今回の家も契約にいたるまで、私と何度も何度も会い、細かく質問を重ねられていたのです。 「このくらい、あなたに聞くまでもないかと思っていたことを、ご本人にお会いしたらつい聞きたくなってしまって…。あの家はぜひ買いたいんです。もう無理でしょうか?」買主様は青い顔で答えられました。私は「そうでしたか。不安が残っていらしたんですね…。では売主様へ、あなたのお気持ちをお伝えしに行ってきます」と言い残し、すぐにその足で、売主様へ会いに行きました。売主様は冒頭「あなたには悪いけど、喜んで住んでいただけない方には売れません」とかたくなでした。日頃からこまめに掃除や手入れをされていたことがわかる、綺麗なお宅です。その愛着ある家を、あの時、否定されたようなお気持ちだったのでしょう。私は、買主様にとってこの家が、たくさんの物件を悩まれたのちに辿り着いた唯一の物件であったこと。しかし一生の大きな買物をするという時、思わず不安を口に出してしまったこと。そしてその不安を事前に解消しきれなかったのは、すべて営業である自分の力不足であったとお伝えし、最後に「どうか、もう一度契約をお考えください!」と、その場で深く頭を下げてお願いしました。
頭の中には、あんなに買いたがっていた買主様と、早く売れて喜んでくださっていた売主様の両方が浮かんでいました。合致するはずだった双方の願いを、「つい」発した一言で壊してはならないという思いでいっぱいでした。するとそれまで黙って話を聞いていた売主様は、ふぅ、と溜息を一つ。そして少しの間をおいて、優しい声でおっしゃいました。「…頭を上げてください。あなたには負けました」。私は嬉しさと申し訳なさの入り混じった気持ちで、何度も何度もお礼を言いました。

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そして、仕切り直しの契約日がきました。

買主様が改めてお詫びをすると売主様は「ええ、あなたのお気持ちはもう聞いています。こちらこそ改めてお願いします」と微笑んでくださいました。 前回とはうってかわって、穏やかに契約は終了。買主様を先に見送った後、売主様は私の目を見て、帰り際に言いました。「あなたの立ち回り、見事な着地点でした。『自分が悪い』ってあんなに謝られたら許しちゃいますよ。やっぱりあなたに売ってもらって良かった。ありがとう」。そして買主様からも引っ越し後に、お電話をいただきました。「やっと見つけた家を、ついうっかりの一言で失ってしまうところでした。おかげさまで快適に暮らしています。ありがとうございました」。しかし、私は「あの時もしも、契約前に不安がすべて取り除かれていれば」と思うのです。ですから私は今日もお客様へお伝えします。「不安は残さず、私と一緒に解消しましょう!」

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