不動産売却時の税金
- 譲渡所得の計算方法
- 空き家の3,000万円特別控除
- Q44.今回、空き家の3,000万円特別控除を受ける予定だが、同一年中に自宅の売却も検討している。自宅を売却する場合、一定の要件を満たせば、自己居住用の3,000万円特別控除を受けられると聞いたが、二つの特例制度を併用することはできる?
併用できる場合、限度額はいくらになる? - Q45.相続物件について空き家の3,000万円特別控除の適用を検討しているが、相続税を支払っている場合の留意事項は?
- Q46.空き家の3,000万円特別控除を受ける際、譲渡対価1億円以下の要件があるが、売却物件が複数の相続人の共有物である場合、どのように判定する?
また、売却物件が店舗兼住宅である場合、どのように判定する? - Q47.昨年、1人暮らしをしていた親が亡くなり、自宅を3人の子供が3分の1ずつ相続した。相続後は空き家のままで、誰も住む予定がないため、売却することとした。
空き家の3,000万円特別控除を使える場合、特別控除額はいくらになる? - 空き家の3,000万円特別控除の適用を受けるための手続きは?
- Q48.母が亡くなり、長男が相続により被相続人の居住用家屋を取得した。
母が亡くなる以前、父からの相続の際に、既に2分の1を相続により取得していた場合の空き家の3,000万円控除の対象はどうなる? - Q49.老人ホームに入った後に相続が発生した場合、相続税の小規模宅地の評価減の特例適用を受けることができる?
- Q50.老人ホームを利用しているが、相続開始前に自宅を売却した場合と、相続開始後に相続人等が売却した場合にそれぞれ受けられる特例は?
不動産売却時の税金
譲渡所得の計算方法
空き家の3,000万円特別控除
(制度の概要)
被相続人の死亡により空き家になった不動産を相続により取得した相続人又は包括遺贈により取得した受遺者が売却し適用要件を満たした場合には、当該不動産を売却した際の譲渡所得から3,000万円を控除することができます。
【 適用要件 】
①適用期間の要件
相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、特例の適用期間である2016年(平成28年)4月1日から2027年(令和9年)12月31日までに譲渡することが条件となります。
②相続した家屋の要件
●相続開始の直前において被相続人が一人で居住していたものであること
●下記㋐と㋑要件を満たす場合も被相続人が相続開始の直前に居住していたものとして認められます。
㋐被相続人が介護保険法に規定する要介護・要支援認定を受け老人ホーム等に入所し、かつ、相続の開始の直前まで老人ホーム等に入所をしていたこと。
㋑被相続人が老人ホーム等に入所をした時から相続の開始の直前まで、その家屋について、その被相続人による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用又はその被相続人以外の者の居住の用に供されていたことがないこと。
●1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された区分所有建築物以外の建物であること
●相続時から売却時まで、事業、貸付、居住の用に供されていないこと
●相続により土地及び家屋を取得すること
③譲渡する際の要件
●譲渡対価の額の合計額が1億円以下(共有で譲渡する場合には合計額が1億円以下)であること
●相続人が家屋を譲渡時までに取壊して売却すること、又は耐震リフォーム等により譲渡時において耐震基準に適合することが証明された家屋の売却であること
④2024年(令和6年)1月1日以後に行う譲渡【2023年(令和5年)度税制改正】
対象家屋につき譲渡時から譲渡した年の翌年2月15日までに、取壊しが完了した場合又は耐震基準に適合することが証明された場合は、本特例が適用可能となります。
また対象となる土地家屋を取得した相続人が3人以上の場合の特別控除額は2,000万円となります。⑤他の特例との適用関係
●自己居住用財産の3,000万円特別控除又は自己居住用財産の買換え特例のいずれかとの併用が可能(同一年中に空き家の3,000万円特別控除と自己居住用財産の3,000万円特別控除とを併用する場合には、2つの特例合わせて3,000万円が控除限度額となります)
●住宅ローン控除との併用が可能
●相続財産を譲渡した場合の相続税の取得費加算(詳細はこちらから→)とは選択適用
A
同一年中に相続物件とマイホームを売却して二つの特例制度を併用することは可能です。
但し、限度額は両者の限度額の合計6,000万円ではなく3,000万円になります。
A
相続税を支払った場合、相続の申告期限の翌日から3年以内に相続物件を譲渡すると相続税額のうち、一定金額を譲渡資産の取得費に加算できる特例制度があります。但し、空き家の3,000万円特別控除との併用は出来ませんので、選択適用になります。
A
「譲渡対価が1億円以下」の要件については、その共有持分を共に譲渡する場合は、共有者ごとの持分に応じた金額ではなく、売却物件の全体の譲渡対価で判定します。同様に、店舗兼住宅全体を売却した場合、譲渡対価のうち居住部分に対応する部分で判定するのではなく、店舗兼住宅全体の譲渡対価で判定することになります。
また固定資産税精算金も譲渡対価に含まれますので注意が必要です。
A
適用対象者ごとに3,000万円までの適用が可能です。
3人合計で考えた場合、最大で3,000万円×3人=9,000万円相当の控除が可能です。
(2024年(令和6年)1月1日以後の譲渡の場合には2,000万円×3人=6,000万円が限度となります。)
空き家の3,000万円特別控除の適用を受けるための手続きは?
2段階で申請します。まず空き家の所在する市区町村で空き家の確認書を発行してもらいます。その確認書を確定申告書に添付して税務署に提出します。
A
母から相続した2分の1のみが空き家の3,000万円控除の対象です。
以前より家屋・敷地の一部を所有している場合
A
以下特例を受けるための要件(1)及び(2)を満たした場合には小規模宅地の評価減の特例を適用することができます。
A
下記の特例が考えられます。
①相続開始前に売却した場合
自宅 | ◎ | ||
---|---|---|---|
老人ホーム利用 | 生活の本拠は自宅 | ◎ | |
生活の本拠として利用 | 入所してから3年を経過する日の年末までに譲渡した場合 | ◎ | |
入所してから3年を経過する日の年末を超えて譲渡した場合 | × |
②相続開始後に売却した場合
被相続人の自宅 | 相続等で取得した | 相続等で取得した | ◎ | |
---|---|---|---|---|
被相続人 | 相続等で取得した | 空き家の3,000万円特別控除の要件満たす場合 | ● | |
被相続人が老人ホームを | 生活の本拠 | 空き家の3,000万円特別控除の要件満たさない場合 | × | |
生活の本拠 |
監修
東京シティ税理士事務所