賃貸用不動産の税金

賃貸用不動産を購入したときの税金

マイホーム用でも賃貸用でも、不動産を購入した場合には、不動産取得税や登録免許税がかかります。またその後保有し続けると毎年固定資産税・都市計画税が課税されます。これらの税金ですが、賃貸用不動産は、マイホームでは適用可能である税金の軽減の特例を受けることができないなど、税務上の取扱いが異なる場合があります。

賃貸用として不動産を購入した場合の取扱い

①不動産取得税詳細はこちらから→

賃貸住宅の場合、適用要件を満たす新築であれば住宅用家屋の軽減特例を受けられますが、中古ではその特例は受けられません。

②登録免許税詳細はこちらから→

自己居住用ではないので、新築・中古ともに住宅用家屋の軽減の特例は受けられません。

③固定資産税・都市計画税詳細はこちらから→

適用要件を満たせば「住宅用地」及び「新築住宅の建物」の軽減措置が受けられます。
ただし、市区町村により軽減の特例の内容が異なる場合がありますので、詳細は不動産が所在する市区町村にご確認ください。

④消費税詳細はこちらから→

課税事業者が納める消費税額は、原則的には、課税売上に含まれる消費税額から、その売上に対応する課税仕入れに含まれる消費税額を控除した金額となります。この金額がマイナスの場合には還付となります。

建物の購入は課税仕入れですが、それが居住用賃貸建物の場合には、売上となるべき家賃に消費税がかからないため課税売上とはならず、その居住用賃貸建物の購入については仕入税額控除は認められないことになります。
ところが、課税売上割合に応じて仕入税額控除を算出する計算方法によって、作為的に課税売上割合を高める手法により、居住用賃貸建物の購入について仕入税額控除の計算に含め還付を受けるケースが多くみられました。
令和2年度税制改正によって、そのような作為的は手法は封じられ、2020年(令和2年)10月1日以後の居住用賃貸建物の購入については仕入税額控除の適用が厳格に認められないこととなりました。

※居住用賃貸建物とは、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって、税抜対価の額が1,000万円以上のものをいいます。

賃貸を開始する際の届出書類

賃貸事業を開始した場合は、主に以下の書類を税務署に届け出ます。(②と③は任意です)

 

届出書類

届出理由

提出期限

個人事業の開業・廃業等届出書

事業を開始した場合

事業開始から1ヶ月以内

所得税の青色申告承認申請書

青色申告を選択したい場合

その年の3月15日まで

(その年の1月16日以後に事業を開始した人については、事業開始の日から2ヶ月以内)

所得税の減価償却資産の
償却方法の届出書

減価償却資産の償却方法に定額法以外を選定したい場合

  • ※償却方法を選定しない場合、全ての減価償却資産に定額法が選定されたとみなされます。

開業した年の翌年3月15日まで

  • ※建物については定額法のみとなり定率法を選択することができません。

  • ※2016年(平成28年)4月1日以後に取得した建物附属設備及び構築物については定額法のみとなり定率法を選択することができません。

減価償却方法

建物や建物附属設備などの資産は購入時に全てを必要経費とするのではなく、毎年減価償却により耐用年数で分割して必要経費にします。減価償却の方法には定額法と定率法があります。減価償却費の金額の総額は、どちらの方法を使用しても同じです。早期に必要経費化したい場合は、定率法を選定した方がよいでしょう。個人の場合、定率法を選択したい場合は事前に「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を提出することで定率法で計算することができます。届出書が出されていない場合には定額法となります。ただし、建物や2016年(平成28年)4月1日以後に取得した建物附属設備、構築物については定額法で計算しなければなりません。

■定額法

毎年の減価償却費が同額となるように計算する方法

2007年(平成19年)4月1日以後取得分 ・・・定額法=購入代金×償却率

■定率法

初期に減価償却費を多くし、年が経つに従って減価償却費が一定の割合で逓減するように計算する方法

定率法=前年末時点の未償却残高×償却率

(2007年[平成19年]4月1日以後取得分については保証率との比較計算により計算します。詳細は税理士等の専門家にご確認ください。)

  • ※償却率表はこちらをご覧ください。

  • ※非事業用資産の減価償却方法についてはこちらをご参照ください。

青色申告のメリット

青色申告を選択した場合には、さまざまなメリットがあります。主なメリットとしては、10万円の青色申告特別控除があります。これは、収入金額から必要経費を差し引いた不動産所得から、さらに10万円(所得金額を限度とする)を控除することができるものです。さらに「社会通念上事業と称するに至る程度の規模」(一般的に貸室10室、貸家5棟)以上であれば、複式簿記による帳簿作成をすることを条件として55万円控除できる青色申告特別控除や、事業に専従する親族に対して支払う給与を青色事業専従者給与として必要経費に計上することができる制度等があります。

※電子申告又は電子帳簿保存を行う場合は65万円

監修

東京シティ税理士事務所