II

保有しているとき(不動産所得等)の税金

1.不動産所得に対する税金

不動産所得の計算

〈不動産所得の計算例〉

以下の条件で賃貸用マンションを購入し、賃貸します。以下に示す収入と経費が発生すると見込まれます。この場合、不動産所得の金額はいくらになりますか?
また、その他に給与所得が800万円あります。年間の所得金額はいくらになりますか?

[ 条件 ]

購入金額 5,000万円 (土地3,000万円、建物(鉄骨鉄筋コンクリート造)2,000万円と仮定)
借入金   2,000万円 (金利は年3.2%・借入金残高も一年間変動しないものと仮定)

[ 収入 ]

賃料は、月額20万円と仮定(12ヶ月とする)
敷金・礼金2ヶ月分を受け入れる(敷金は退去時に返還する)

[ 経費 ]

管理組合に支払う管理費は、月額2万円と仮定
不動産業者に対する管理手数料は、月額賃料の5%と仮定
固定資産税・登記費用に25万円かかると仮定
減価償却費は一年分満額と仮定
そのほかの経費として15万円かかると仮定

[不動産所得の金額]

  • 収入金額
   

 賃料収入

 礼金収入

240万円

40万円

(20万円×12ヶ月)

(20万円×2ヶ月)

 合 計

280万円

 
     
  • 必要経費
   

 管理組合管理費

 不動産業者管理手数料

 借入金利息

 減価償却費

 固定資産税等

 その他経費

24万円

12万円

64万円

44万円

25万円

15万円

(2万円×12ヶ月)

(賃料の5%)

(2,000万円×3.2%)

(2,000万円×0.022)

 合 計

184万円

 
  • 不動産所得の金額

96万円(収入金額(280万円)―必要経費(184万円))

[年間の所得金額]

年間の総所得金額896万円(不動産所得(96万円)+給与所得(800万円))

損益通算

損益通算とは、所得の金額の計算上、不動産所得などについて生じた損失について他の所得(給与所得など)と相殺することをいいます。つまり、その損失分だけ所得金額を圧縮することができ、納税額を減らす効果をもたらします。
ただし、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した金額のうち、土地等を取得するために要した借入金の利息の額がある場合には、その損失額のうちその土地等を取得するために要した借入金の利息に相当する額は損益通算できません。

→こちらもあわせてご参照ください。

国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例

(1)個人が2021年(令和3年)以後の各年において、国外中古建物を賃貸し不動産所得を有する場合に、その年分の不動産所得の金額の計算上国外不動産所得の損失の金額があるときは、その国外中古建物の減価償却費に相当する金額で耐用年数につき次の①②の方法(いわゆる「簡便法」)により計算したものは生じなかったものとみなされます。

① 法定耐用年数の20%
② (法定耐用年数-経過年数)+経過年数の20%

(2)(1)の適用を受けた国外中古建物を譲渡した場合の譲渡所得の金額の計算上、(1)により生じなかったものとみなされた減価償却費に相当する金額は、取得費から控除しないこととなります。