2.譲渡所得と取得費・譲渡費用
取得費
取得のための費用で一定のものが認められます。土地は非減価償却資産のため、取得価額が取得費となりますが、建物については経年劣化により減価されると考え、この減価償却費の累計額を取得価額から差し引きます。なお、減価償却費の計算の基礎となる取得価額には、購入のために要した付随費用のうち事業所得又は不動産所得の必要経費とした金額は含まれません。
◆減価償却費の計算方法
減価償却費の一般的な計算方法としては、定額法(旧定額法)と定率法(旧定率法)があり、減価償却方法の選択の届出をしない場合には、定額法(旧定額法)で計算します。なお、1998年(平成10年)年4月1日以後に取得した建物については、すべて定額法(旧定額法)により減価償却費を計算します。(事業用資産の減価償却費の計算については→こちらをご参照ください)
〈非事業用資産の場合〉
建物についてマイホーム、セカンドハウスなど非事業用の資産として使用していた期間がある場合には、その期間については次の算式により減価償却費を算出します。
償却費(旧定額法)= 建物購入代金 × 0.9 × 旧定額法の償却率 × 経過年数 (注1)
〈償却率〉
建物の構造等 | 耐用年数(注2) | 旧定額法の償却率 |
木造 | 33年 | 0.031 |
木骨モルタル造 | 30年 | 0.034 |
金属造で骨格材の肉厚が
|
51年 40年 28年 |
0.020 0.025 0.036 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造 |
70年 | 0.015 |
(注1)経過年数6ヶ月以上の端数は1年とし、6ヶ月未満は切り捨てます。
(注2)非事業用資産の耐用年数は事業用資産の1.5倍で計算されます。
※償却費は建物購入代金の95%を限度に計算します。
◆取得費の特例
土地建物の場合には、次の①または②の金額のうちいずれか多い金額を取得費とすることができます。
土地等の場合 | 建物の場合 |
①収入金額×5%相当額 ②取得価額 |
①収入金額×5%相当額 ②取得価額-減価償却費 |
◆相続・贈与等により取得した資産
個人から相続・贈与により取得した資産の取得費は、原則被相続人、贈与者等のその資産を所有していた期間を含めて引き続き所有していたものとみなします。つまり、取得価額及び取得時期のいずれも被相続人等のものが引き継がれます。
移転事由 | 相続・贈与・遺贈を受けた者 |
・相 続 ・贈 与 ・遺 贈 |
取得費・取得時期を引き継ぐ |
◆相続税額の取得費加算の特例(空き家の3,000万円控除の特例との選択適用とする)
相続又は遺贈により取得した財産にかかる相続税額がある場合で、その相続財産を相続開始があった日の翌日から相続税の申告書の提出期限(注1)の翌日以後3年を経過するまでの間に譲渡した場合、通常の方法により計算した取得費に次の算式により計算した金額を加算することができます。
①譲渡所得
総収入金額 - (取得費 + 相続税の取得費加算額 + 譲渡費用)
②相続税の取得費加算額の計算(注2)
相続税額 × | 譲渡した資産に係る相続税評価額の合計額 |
相続税額にかかる課税価格 |
(注1)相続開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内。
(注2)加算額はこの規定の適用前の譲渡益を限度とする。