4.生前贈与の特例の活用
被相続人が生前に財産を贈与すれば、相続財産が減少し相続税額を減少させることができますが、贈与税率は相続税率に比し高い税率になっているため、相続税額を減少させることはできても、贈与税額を含めた納税額を減少させることはできません。しかしながら最近の動向として、生前贈与を奨励する贈与税の特例が数多く作られています。これらの特例をうまく活用することにより、相続財産を減らすことができ、相続税対策につながります。
1 | 2 | 3 | ||
制度 (方法) |
一般的な贈与 | 相続時精算課税制度 | 相続時精算課税制度 (特例) |
おしどり贈与 |
概要 | 基礎控除110万円の非課税枠を利用して、毎年贈与をする方法。長い期間多数の人に贈与をすることで、より多くの相続財産を圧縮することができます。 | 親や祖父母から財産を贈与してもらう場合、 2,500万円まで贈与税が非課税となる制度。 |
婚姻期間20年以上の配偶者間でマイホーム・マイホーム購入資金の贈与を行う場合に、2,000万円まで贈与税が非課税となる制度。 | |
贈与者 | 不問 | 60歳以上の 親、祖父母 |
親・祖父母 (年齢制限なし) |
夫(妻) |
受贈者 | 不問 (一般的には15歳以上が目安) |
18歳※以上の直系卑属
※2022年(令和4年)3月31日以前は20歳。 |
妻(夫) | |
贈与財産 | 財産不問 | 財産不問 |
|
|
非課税額 | 1年あたり110万円 | 2,500万円 | 2,000万円 | |
主な注意点 | 2の相続時精算課税制度を選択している場合には利用できません。 | 贈与された財産は相続発生時に相続財産に加算され、 相続税の課税対象となります。 |
一生に一度しか適用ができません。 | |
申告義務 | 110万円以下の贈与であれば 申告不要 |
贈与の翌年2月1日より3月15日までに贈与税の申告 | 贈与の翌年2月1日より 3月15日までに贈与税の申告 | |
相続税対策※ | ○ ただし、相続開始前3年以内の贈与は、相続財産に加算します(相続により財産を取得しない人は相続財産に加算しません)。 |
× | ○ 例えば、夫に適用される相続税の税率が高いことが予想され、かつ妻は相続税がかからない(もしくは妻に適用される税率が低い)ことが予想される場合には有効。 |
※: ○・・・相続税対策として有効
×・・・相続税対策とならない