VII

ケーススタディ

6.店舗併用住宅の売却

店舗併用住宅のように事業用資産と居住用資産を同時に売却した場合、譲渡収入をそれぞれ事業用・居住用に区分し、それぞれに特例の可否を判断します。区分の計算は使用している面積割合が一般的です。

店舗兼住宅を12,000万円で売却して、仲介手数料366万円を支払いました。1Fは店舗、2・3Fは自宅として使用していました。昭和30年に購入しましたが取得価額は不明(注)です。今年中に6,000万円の店舗と6,000万円の自宅を購入するつもりです。それぞれ事業用の買換えと居住用の買換えを受ける場合、税金はいくらになりますか。

(注)取得価額がわからない場合の取得費は、その譲渡収入金額の5%に相当する概算取得費とすることができます。また、実際の取得費が概算取得費を下回る場合にも概算取得費とすることができます。

店舗併用住宅の売却
■ 収入金額・取得費・譲渡費用を店舗部分と自宅部分に床面積比で按分します。

店舗部分

収入金額

12,000万円×1/3=4,000万円

取得費(注)

4,000万円×5%=200万円

譲渡費用

366万円×1/3=122万円

自宅部分

収入金額

12,000万円×2/3=8,000万円

取得費(注)

8,000万円×5%=400万円

譲渡費用

366万円×2/3=244万円

(注)概算取得費

①事業用の買換えをした税金 (「譲渡所得の金額の計算」をご参照ください)

収入金額

譲渡収入金額

4,000万円×20%=800万円

必要経費

譲渡資産の取得費・譲渡費用

(200万円+122万円)×20%=64.4万円

課税譲渡所得

800万円-64.4万円=735.6万円

税額

735.6万円×20.315%=149.43万円

②居住用の買換えをした税金 (居住用の買換えの特例を受けた場合)

収入金額

8,000万円-6,000万円=2,000万円

必要経費

(400万円+244万円)× 2,000万円 = 161万円
8,000万円

課税譲渡所得

2,000万円-161万円=1,839万円

税額

1,839万円×20.315%=373.59万円

■税金合計

①149.43万円+②373.59万円=523.02万円

解 説

特例がとれる場合でも特例を適用した後すぐに相続を迎え、売却が予想される場合などは、むしろ特例を適用しない方が良い場合があります。税務上の特例の数字上のメリットのみに目を奪われ、その後の生活設計を台無しにする場合もあります。買換え特例は特に注意が必要です。