VII

ケーススタディ

10.定期借地権(保証金方式・権利金方式・前払賃料方式)の課税関係

借地権は土地の利用権として、その利用者が利用を望む限り永久にその権利が利用者に帰属します。そのため土地の所有者は土地を第三者に賃貸することに慎重になり、土地の有効活用が停滞します。この欠陥を補完するためにできた制度が定期借地権の制度です。自分の土地を手放さずに、事前に決められた期間中第三者に土地を賃貸することにより有効な活用を促進します。

(1)保証金方式

■保証金

期間満了時に返還しなければならない金銭。土地所有者にとっては、長期に渡る債務となります。

■貸主の処理(個人)

取得した保証金を運用した場合の経済的利益の取り扱い

〈ケース1〉

賃貸マンションの所有の目的のために、定期借地権の設定をし、1億円の保証金を受け取りました。
(契約期間は、平成29年1月~平成78年12月の50年間)

保証金の運用方法

a.駐車場用地の取得 3,000万円

b.自宅の増築のための資金 500万円

c.大口定期預金 5,000万円

d.株式取得資金 1,500万円

(注)平成29年の10年長期国債の平均年利率は0.02%と仮定する

不動産所得の総収入金額

(500万円 + 1,500万円) × 0.02% = 4,000円

■借主の処理

個人・法人ともに償却できない。(資産(保証金)計上)→保証金の返還請求権あり。

解 説

定期借地権の設定により保証金を受け取り、その保証金を運用している場合には、次の運用の区分に応じ、その保証金の経済的利益の計算をします。

  1. 不動産所得や事業所得などの運転資金や、業務用資産の取得資金として運用した場合
    保証金の経済的利益の額を、その年の不動産所得の総収入金額に算入するとともに、同額をその業務に対する所得の計算上、必要経費に算入することになりますので、課税関係は発生しません。
  2. 預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託などの金融資産に運用した場合
    保証金の経済的利益の額を、計算する必要はありません。
  3. 上記以外の運用の場合
    保証金の経済的利益の額を、その年の不動産所得の総収入金額に算入します。

従いまして、a は 1. に該当し、c は 2. に該当します。 b と d は 3. に該当しますので、経済的利益を不動産所得の総収入金額に算入しなければなりません。なお、経済的利益の計算については、10年長期国債(注)の平均年利率により計算します。

(注)国税庁より公表されます。

法人・個人ともに保証金を負債(預かり保証金)計上することについては課税関係はありません。